◼値上げラッシュとなる10月。食品や飲料は3024品目が値上げとなり、ひと月の
値上げ品目が3000品目を超えるのは今年4月以来。
後期高齢者(75歳以上)のうち一定の所得がある約310万人の医療費の窓口負担も増えます。
厚労省によると、負担額は平均で年9000円程度増える見込みだということです。
◼10月から何が値上がりするのか? そして、私たちの生活はどうなるのか?
10月から、3024品目の食品・飲料が値上げされます。
値上げ幅は平均で17%。具体的には、加工食品・調味料・菓子・乳製品・パンなどですが、分野別で最も多いのは「酒類・飲料」で、262品目が値上げの対象となります(帝国データバンク調べ)。
500mLのコカ・コーラは、なんと200円(税抜き)に。

33年前(1992年)は1缶110円で販売されていましたが、その後ペットボトルタイプも自販機に登場し、2014年は150円でした。原材料の高騰などで値段は上がり続け、いよいよ1本200円時代に突入します。
◼「3年前の倍」医療費負担が増える後期高齢者も
値上げされるのは、食料品だけではありません。
10月1日から一部の75歳以上の後期高齢者の医療費負担が増えます。“経済的に余裕がある人”が対象で、具体的には、次の条件 ① ②の両方に該当する人の窓口負担が「1割→2割」となるのです。

後期高齢者医療制度について、これまでの経緯を振り返ります。従来、窓口負担が「1割負担」だった後期高齢者(一部)の負担が、2022年からは「2割負担」となりました。この際、制度変更による混乱を避けるため、「1割負担と比べたときのひと月の超過は3000円まで」という“配慮措置”が取られていました。この“配慮措置”が9月で終了したため、窓口負担は3年前の倍となります。
例えば、医療費5万円の場合の窓口負担は…
▼1割負担(2022年10月1日以前)⇒5000円
▼2割負担+配慮措置(2022年10月1日~2025年9月30日)⇒8000円
▼2割負担(2025年10月1日~) ⇒1万円
と、このように倍増することになります。
一方、医療現場では“受診控え”につながるのではと心配する声も。
◼“通院大国日本”1年間で12回も病院に!?
なぜ後期高齢者の負担を増やすのか? その背景には「医療費増大」という課題があります。
2024年度の日本の医療費(概算医療費)は48兆円にまで膨らんでいて、そのうち4割(19.6兆円)が後期高齢者に費やされているのです。

また、厚労省によると、日本人が1年間で病院に行く回数(年間外来診察回数)は「1人あたり平均12.1回」ですが、これは若年層も含めた平均値であり、高齢者の通院回数はもっと多いだろうと推測されます。
なお、国によって医療制度が異なるため単純比較はできませんが、スウェーデンの年間外来診察回数は2.3回、アメリカは3.5回、フランスは5.4回だということです。諸外国と比べて医療にかかりやすい日本の制度は、「病気の早期発見につながる」というメリットもありますが、その反面、医療費増大という課題に直面しています。
◼最後に
その他にも自動車保険の値上げなど様々なものが値上がりします。
そのため、生活を賢く工夫していく必要がありそうです。同時に、値上げに耐えられるよう、賃上げを含めた社会設計が追いついていくことが望まれます。