たんす預金、危うし!

・・・昨今の中学校「お受験」の試験問題は、けっこう難しい。
例えば、『コロナ流行に戦争勃発、円安と、経済がひっくり返る大事件が続く中、あらゆるところで
物価が上がっている。
しかし中には、値上げをせずに販売価格を据え置いた企業もあった。
そうした企業は、どのようにしてコスト増加に対応したと考えられるか、説明せよ』などという時事
問題が、ポンポン飛び出す。
模範解答例は、『値段を変えずに、商品の量を減らした』、など。
・・・「ステルス値上げ」というヤツですね。
「ステルス」というのは、レーダーに引っかからないステルス戦闘機に因んだ俗称ですが、量が減って
いれば実質的には値上げということである。
他にも、「製造工程を見直してコスト減を図る」とか、「安い原材料を探す」など、社会の仕組みを
理解していなければ答えられないような解答を求められるそうです。

・・・大人の皆さん、小学6年生に負けてはいられませんよ。
ファストフードのマクドナルドが、16日から再値上げしましたね。
主要商品が20~40円ほど上がり、中には100円アップしたものもあるそうな。
ダブルチーズバーガーは、去年の春に231円から350円になり、秋には370円、今回は400円に。
・・・まあ元々、発売当初は350円であったのを客寄せのために下げていた事情もあるので、
元に戻ってそこから50円上がったということになるのですが、消費者に与えるショックは大きかった
ようです。
ハンバーガーだけではありませんよ。
物価上昇は、あらゆるところでまんべんなく進んでおります。
10日に総務省から発表された数字を見ると、12月の物価上昇率は、(前年同月比で)生鮮を除いた
食料品全体では7.5%上昇。
・・・その中の大きいモノはというと、例えば食用油は32.5%、あんぱんが18.4%、輸入牛肉が
13.1%上がったようです。
電気やガスなどのエネルギー料金は26%、タクシー代金は14.4%、スマホなどの携帯端末機の代金は
22.1%の上昇だそうです。
これでは人々の消費意欲が冷めてしまって、経済の回復どころかますます落ち込んでしまいそうです。

値上げラッシュはこの先もまだまだ続きます。
冒頭に挙げた試験問題ではありませんが、企業がコストの増加分を、マトモに商品価格に転嫁できず
にいるケースは多いと見られるので、それこそステルス値上げさえも出来ていない、地下潜伏コスト
が溜まりに溜まっているはずですよね。
企業努力の限界を超えれば、それが一気に噴き出して、物価が急激に跳ね上がるか、それとも企業が
潰れるか・・・?
問題は、そうして物価は上昇の一途であるのに対し、人々の収入が全く追いついていないということ
です。
・・・収入は増えない。
政府は相変わらずのゼロ金利を固持する構えでいるので、手持ちの預金に利息が付いて増える見込み
も無い。
この数十年、「増えない」状況があまりにも長く続いた為でしょうか、多くの人々は、増えなくても
とりあえず元本が保証されていれば、それだけで満足するようになってしまったのかもしれません。
しかしそれは、物価が低く抑えられたデフレの状況にあってこそ成り立つ図式です。
物価だけが上がって預金利息が増えなければ、価値バランスが釣り合わずにお金の価値が下がります。
直近のデータでは消費者物価上昇率が3.7%と、40年ぶりの水準に達したとのことです。
利息ゼロの中で「実質預金利子率」は-3.7%となり、仮にこの状態が3年間続いたとしたら、
100万円の銀行預金は実質的に90万円弱まで価値を落とすことになります。
統計の試算上、そのような数字が出ているのです。
今や、元本保証された「安全資産」など、どこにも存在しないと言えるでしょう。

インフレが進む中で、何も手を打たずにいると、たんすの中のお金の「価値」が下がってしまう。
置いているだけで増えることのない銀行預金も同じです。
安全な資産運用を検討、実行するのが唯一の回避策です。
政府もここに来てやっと、マネー教育の大切さに気付いたようで、学校のカリキュラムに組み込む
ようになったわけですが、大人になってウン十年の私たちも、少しは勉強をして、低リスクで安全に
資産を守る方法を、本気で考える必要があるのだと思います。

 


By Admin|2023年1月20日|2023年,ニュースリリース|


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