ゼラチンの抗がん作用

ゼラチンに、強力な「抗がん作用」があることを、最初に明らかにしたのは、大阪医科大学の山中太木博士と榎木義祐博士である。しかし、ゼラチンがごくありふれた食材であることから、薬用に関心が向かず、学術界、医療界は注目しなかった。
山中博士は大阪医科大学の学長を務めた後、他界したが、ゼラチンのおかげで、終生、がんに罹ることがなかった。榎木博士は 43 歳で大学を離れて医院を開業して以降も、一貫してがん患者に「一日 10g のゼラチン」を食べることを勧め、大きな成果を挙げてきた。
榎木博士自身も 57 歳のとき、咽頭がんをゼラチンで克服した。

1.ゼラチンががん細胞の増殖を抑えた

2003 年の研究で、3 種類のゼラチンをヒトのがん細胞に直接作用させる実験が行われた。
対象となったのは、白血病系細胞、大腸がん細胞、胃がん細胞です。
この実験では、豚皮由来ゼラチン(porcine skin gelatin)が最も強い増殖抑制作用を示した一方、牛骨由来ゼラチンでは同じ作用が確認されませんでした。研究者は、豚皮ゼラチンがこれらのヒト腫瘍細胞株の増殖を抑制したと報告しています。
つまり、「ゼラチンには、少なくとも実験室レベルでがん細胞の増殖を抑える種類・条件が存在する」というところまでは、研究で確認されています。

2.なぜゼラチンに抗がん作用があるのか?

ゼラチンは、簡単に言えばコラーゲンを分解・変性して得られるタンパク質です。
コラーゲンは人体の主要な構造タンパク質ですが、実はがんとの関係が非常に複雑です。
現在の研究では、がん細胞そのものだけではなく、がん細胞+周囲の細胞+コラーゲンなどの細胞外マトリックスからなる「腫瘍微小環境(TME)」が、がんの増殖・浸潤・転移・薬剤耐性に大きく関係することが分かっています。

3.「コラーゲン=抗がん」ではない

研究を調べると、むしろがん組織にコラーゲンが大量に蓄積すると、がんに有利になる場合があることが分かっています。
コラーゲンが増えると、がん組織が硬くなりがん細胞の増殖・浸潤を助け、免疫細胞ががん組織に入りにくくなるため、抗がん剤や免疫療法が効きにくくなるという現象が起こる場合があります。
2025 年のレビューでも、腫瘍内のコラーゲンは、がんの増殖・浸潤・転移・薬剤耐性・免疫環境などに関係すると整理されています。

4.「ゼラチン」に注目する理由

コラーゲンとゼラチンは同じものではありません。
コラーゲンは三重らせん構造を持つ巨大なタンパク質ですが、ゼラチンはコラーゲンを熱処理などによって変性させたものです。
そのため、コラーゲンを分解・変性するとゼラチンとなり、さらに消化するとアミノ酸・ペプチドという形になります。

5.ゼラチンを使ったがん治療

2026 年にも、ゼラチンを利用したがん治療研究があります。
例えば肝臓に転移した血流の多いがんに対して、ゼラチン粒子を血管内に入れて血流を遮断する「塞栓療法」が研究されています。
2026 年に発表された試験では、標準的な全身治療が難しい肝転移患者に対して、ゼラチン粒子を利用した経動脈的塞栓療法が検討されています。
ただし、これは「ゼラチンを食べてがんを殺す」という話とは全く違います。ゼラチン粒子をがんに栄養を送っている血管へ医療的に送り込み、血流を遮断するという治療技術です。

error: Content is protected !!
トップへ戻る