秋の訪れ

立秋が過ぎ、暦の上では秋の訪れを感じ始める時期になりました。
とはいえ、猛暑が続き、はっきりと季節の変化を感じ取るには至っていないかもしれません。
しかし、五感を研ぎ澄ませてみますと、随所に秋の気配を感じられます。

厳しい暑さが残る時期ではありますが、早朝、空が白み始める頃には夜露がしっとりと草を濡らし、潤いを帯びた大気に身を包まれると心地よい涼しさを感じます。
とはいえ、陽が高くなると暑さが戻りますが、8月も終盤に差し掛かかり、ゆっくりではありますが、秋は歩を進めています。

8月も下旬に入った今、間もなく北海道や三陸沖でのサンマ漁も本格化し、水揚げのニュースも聞かれるようになり、多くの家庭の食卓に新物のサンマが並ぶ日も近いことでしょう。サンマを焼いているときに脂がしたたり落ちるときの音、芳醇な香りや口に含んだ時に広がる脂の旨味、秋の味覚の中でも初めに得られる醍醐味ではないでしょうか。

また、この時期、田園が広がる地域では、稲が穂を垂らし、ほんのりと黄金色に色づき始めているのが見て取れます。夏色の空の下、一筋の風が田を吹き抜けると、葉や稲穂が擦れ、さわさわと音を立てますが、その音色にも秋の訪れを感じることができます。

音色や視覚から感じ取れる季節の移ろいは、他にもあります。
日が高くなり、強い日差しが戻ると、アブラ蝉やミンミン蝉が過ぎゆく夏を惜しむかのように甲高い声を響き渡らせますが、日が傾き、薄暮が迫る頃になるとカナカナというヒグラシ(蝉)の哀愁を帯びた声が聞こえてきます。
同時に、目を空に向けると、空は高く、紅に染まったさば雲やいわし雲が空を覆う光景を目にすることができます。

季節の変わり目、特に夏から秋への移り変わりは四季の中でもとても繊細であるように思います。
繊細な変化を身体全体(五感)で感じ取り、そこから得られる美を通じて移ろいゆく季節を堪能してみるのは、四季ある日本に生きている者の特権であり粋な気がします。

 


By Admin|2016年8月24日|2016年,ニュースリリース|


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