この2か月間というもの、1米ドルが118円になった!129円になった?!と、円安の急激な進行に目をシロクロさせておりましたが、先週末の為替相場はついに、TTS(円→$)で130円を超えていましたね。
毎回、申しておりますが、これでまた物価が上がります。沖縄本土復帰から50年を迎えようというこの時に、真っ先に思い浮かべるのは、あの当時と言えば為替は1ドル=300円以上だったなとか、それに比べれば今はまだマシ? いやいや、あの頃1ドルだった品物は今、3ドルに値上がりしている訳だから、結局300円以上払わなければ買えないの。つまり、50年前と同じレベルの超・円安ってことね、・・・などと、家計を直撃する値上げラッシュで頭が一杯になっているのは、何も筆者に限ったことではありますまい。
これも毎度お馴染みになってしまったフレーズですが、決してインフレが悪いわけではない。人々の収入が思うように増えないのに、物価ばかりが上がり続ける状態が危ないのです。
この状況下で、度々聞かれるようになったのが、『資産形成の軸足を、「貯蓄」から、「投資」へチェンジする必要がある』、という話。じっとしていても収入は増えない、預金の金利もゼロに等しい、海外情勢に影響を受けて物価ばかりが上昇するという、歪なインフレが進行している現状にあっては、「インフレに強い」資産形成を模索するべきだ、というわけです。実際に政府も、国民の意識をそちらへ誘導しようとしていますね。しかし、現在の日本国民の資産の内訳を見ると、株式や投資信託が占める割合は、わずか14.3%です。アメリカの51%、ユーロ圏の27.8%に比べて大きく下回っています。
アメリカでは、一般の人々が資産形成を考えるにあたって、「投資」が、ごく当たり前の手段になっているようです。日本でも、バブルの頃には、多くの一般の人々が証券会社に通って投資信託など、普通に買っておりました。
ところが25年前に「山一證券破綻ショック」が起きました。・・・恐らくこれによって、それまで何となく残っていたバブルの余熱で、浮かれたままだった人々が、ようやく夢から覚めたというか、バブル崩壊の現実を認識したというところでしょうか。プロは別にしても、一般個人の投資家たちは、さざ波が引くように消えていきました。以降、日本人のDNAに投資アレルギーが根付いてしまったと言ったら、大袈裟かもしれませんが、その後の低金利、不安定な雇用、将来に対して明るい展望が見出し難くなったこともあって、若い世代の間ではなおさら、リスクの高い投資を嫌う人が増えたのだと思います。・・・まあこれまでは、アメリカのように、金融について高校の授業で教えるようなこともしてこなかったので、投資は日本人にとってあまり身近なものでないというのも、背景にあるのでしょう。この春から始まった「マネー教育」の試みで(家庭科の授業でというのが妙ですが)、何が、どう変わって来るのか、注目したいところです。
それはともかく、問題は、現在すでに大人の、私たちの話です。今はお金を銀行やおうちの箪笥にしまっておいても全く増えないどころか、物価の急上昇は通貨の価値を実質下げることになり、資産が目減りする危険性もあるのです。家計への圧迫は、若年世代もですが、高齢世代には特に、大きくなると言われます。物価の上昇は、主に食料品や燃料代で顕著です。ほとんどの時間を自宅で過ごす高齢者にとって、電気、ガス、水道料金の値上げは痛いでしょう。ここ数年に実行された国民生活への支援政策を見ると、幼児教育、保育の無償化、それから携帯電話料金の引き下げなどが大きかったと思いますが、これらの恩恵を受けたのは、主に若い現役世代です。若年世代と高齢世代とでは、お金を使う場所が違いますから。
「投資」はやはり、きちんと勉強してからでないと怖い。30年前のように、イケイケのノリで(死語?)行っては大ケガをしそうです。でも、手をこまねいてばかり、というのも癪に障ります。今起きている狂騒的なインフレを乗り越える対策を、何か考えなければと思います。