こたつの上に、籠盛りのみかん。日本の冬の光景ですね。
みかん=「蜜柑」と書きます。「蜜のように甘い柑橘」ということです。
産地ごとに色々な名前が付いてお店に並んでいますが、元の品種はすべて「温州みかん」なのだそうです。
名前は、中国の浙江省温州市に由来します。
17世紀に中国から鹿児島に渡来した柑橘類の種から派生したと言われているのですが、何でも、
近年の研究で「温州みかん」のDNAをゲノム解析したところ、「紀州みかん」と、「九年母(クネン
ボ)」という品種が交雑して生まれた可能性が高いということが分かったそうです。
この解析結果を利用すれば、今後の品種改良などが効率的にできるようになると期待されているそうな。
実は江戸時代には、「温州みかん」よりも、やはり中国浙江省から熊本に伝わって、後に和歌山県に
移植された「紀州みかん」の方が良く知られていたと言います。
「紀州みかん」は「温州みかん」とは品種が違い、かなり小振りで、種ありで酸味が強いのが特徴。
紀伊國屋文左衛門がこの紀州みかんを船で江戸へ運び込み、一財産を築いたという話が有名ですね。
・・・明治に入って、甘くて食べやすい「温州みかん」が全国に広まると、くせの強い「紀州みかん」
は消費者から敬遠されるようになって作付けが減ってしまったそうです。
・・・みかんは、とても身近な果物でありますが、もしかすると私たちは、意外とみかんの事を
知らないのかもしれません。
みかんをはじめとする柑橘類の生産地である愛媛県宇和島市では、柑橘農家を中心とする同志メンバー
が集まって、2015年にNPO法人“柑橘ソムリエ愛媛”を立ち上げ、柑橘の美味しさや楽しみ方を、
サブカルチャーとして広く伝える活動を始めました。
2020年秋からは、「柑橘ソムリエ・ライセンス制度」も出来ました。
特製のテキストを使って、柑橘の分類、品種、流通、生産など、幅広い基礎知識を身に付け、質の良い
果実の見分け方、味の分析などの技術を学ぶための講座を受講して、年に2回ほど実施される検定試験
に合格すれば、「柑橘ソムリエ」に認定されます。
受講料は2万5千円と、ちょっと高めですが、これまで開かれた5回の講座には、全国から柑橘が
大好きな人達が集まって、いずれも大盛況だったそうです。
ライセンスを取得すると、みかん農園での農業体験や、柑橘の活用方法を研究する勉強会に参加した
り、柑橘をアピールするイベントの担い手になったりと、様々な活動の場が用意されているとのことです。
・・・イベント参加はともかく、美味しいみかんを見分ける知識があると良いかもしれませんね。
一例として簡単な見分け方が1つ、紹介されていました。
みかんのヘタの部分に見られる軸の太さに注目します。
軸は水分や養分の通り道ですが、柑橘はそもそも、それほど多くの水分や養分を必要としないものだ
そうで、この軸が細いモノの方が、味が引き締まって美味しいと言われているそうですよ。
美味しい果物は、それだけで素敵なごちそうです。
週末のお買い物の時に、ちょっと試してみようかと思います。