日本の『貯金神話』が、崩れる!

40年以上前の話ですが、郵便局の定額貯金の利率が、11%を超えていた時期がありましたね。
複利計算で、10年後には元金が倍以上に増えるという優れモノです。
・・・かのアインシュタイン博士は、「複利式の資産運用は、人類最大の発明だ」と言ったとか、
言わないとか(よく聞かれるエピソードですが、本当にアインシュタインの発言であったのか、
実はその真偽は不明らしい)。
筆者の祖父母両親をはじめ、今の80歳代以上は、それで稼いだ世代であります。
当時は物の値段も上がり続けていましたが、それをしのぐ利益が預貯金から得られたわけです。

ところがどうでしょう。
自分が社会に出た時には、預貯金に付く利息はすでに急降下を始めており、数年後には限りなく
ゼロに近くなっておりましたよ。何たる不公平!!
・・・けれど私たちが、もはや金庫代わりでしかない預貯金口座から現金を動かすことは
ありませんでした。
それは、バブルの崩壊で株の大暴落を目の当たりにしたのと、その後に進んだデフレのせいで
あろうと、新聞にコメントが載っていました。
30年前はドレススーツ1着で5~6万円していたのが、今はせいぜい2~3万円が相場、なんて話を
以前、いたしましたが、資産が容易には増えなくなった一方で、物価もかなり下がった為、手持ちの
資産の価値は相対的に上がることになり、とにかく堅実に貯金しておけば安心と、守りの態勢に
入ったのですね。
そうして、高金利時代からバブル以後のデフレ時代にかけて、日本の多くの人々のアタマの中では、
貯蓄が投資に勝る「成功体験」としてインプットされ、「ヘタな投資はケガの元」という、感覚が
すっかり染みついてしまったというわけです。
しかし現在は、デフレではなく、インフレに転じております。
皆様も肌で感じておられることと思いますが、光熱費も食費も、生活に必要な何もかもが、急激に
上がり始めています。
それはつまり、デフレの時代とは逆に、せっせと貯めたお金の価値が、下がっていくということに
他なりません。
退職後に楽隠居するための資金は、年金とは別に2,000万円あれば大丈夫だろうかと計算を巡らせて
準備をしていても、この勢いで物価の高騰が続けば、5年後、10年後には、3,000万円あっても望む
生活を維持できなくなっているかもしれないのです。
それにもかかわらず、日本の人々が、相変わらずの「預貯金偏重」の傾向から抜け出せていない
ことに危機感を覚えるという、経済誌の記事を、最近は多く見かけます。
政府も、国民に対して、積極的運用による資産形成にシフトするように誘導しようとしていますが
(少々遅きに失したとも言えますが)、「投資はワカラナイ、アブナイ、コワイ」と、ほとんどの
人が及び腰です。
無理もありません。
好んで経済を勉強した人はともかく、それ以外の人は、資産運用に関する知識や、リスクを正しく
理解するための総合的な判断能力、『金融リテラシー』を身につける機会を与えられずにこれまで
やって来て、それが必要であることも知らされずにいたのですから。

アメリカでは、割と早い時期から「金融教育」に重きが置かれてきましたが、キャッシュレスが進み
クレジットカードのトラブルが増えて社会問題になったこと、それに、15年ほど前のサブプライム
ローン問題やリーマン・ショックの教訓もあって、国民の『金融リテラシー』を高める取り組みが
加速したようです。
国の制度としても「個人退職勘定」や「企業型確定拠出年金」などが、50年も前から整備されて
いたので、これらが投資にチャレンジする敷居を下げたと考えられます。
折しも好調だった企業への株式投資が成功を収め、それがアメリカの人々の「成功体験」となりました。
今ではアメリカ国民の個人資産において株式や債券などが占める割合は5割以上で、現金預金は
わずか1割ほどになっているとのこと。
日本とは真逆です。
かくして、貯金に固執する日本人と、積極的な資産形成を行うアメリカ人の差は、歴然と現れて
おります。
1人当たりの資産額が日本の2.5倍ですって!
・・・まあ、賃金の格差があるのも否めませんが。
アメリカ人と張り合う必要はないのですが、少なくとも、資産の目減りを防ぐために、手持ちの資金を
自分で育てなければならない、そういう時代になってきたと考えます。
と言っても、いきなり本格的な株式投資は怖いですよね。
投資にも色々な形があって、比較的安全なものもありますので、賢く選んでいけたら良いと思います。


By Admin|2023年3月17日|2023年,ニュースリリース|


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