日米の金利差だけではない円安の本当の理由は?

日銀の3月の決定では「2%の『物価安定の目標』が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した」としながら、国債の買い入れについては月6兆円のペースで続行するとした。
物価目標の達成が見通せるようになり、金融引き締めに転じるのであれば、併せて国債買い入れも終了させるのが筋だが、4月の決定会合でも修正されなかった。

2023年度末時点での日銀の総資産は735兆円余り、その内、短期を除いた国債の残高は576兆円と膨張が続く。

4月4日、財務省は長期金利が1%上がると利払いが8.7兆円増えるとの試算をまとめたが、これは円安が続く背景として、もはや日銀が超低金利状態を維持しなければ、日本の財政運営が回らない状況を物語っている。

「日本総合研究所主席研究員の河村小百合氏によると、「日銀のオペレーションの方向性は(世界の他の中銀とは)まるで逆。
日銀の資産規模は主要中銀の中で突出して大きく、日本の財政事情は世界最悪であることは海外勢には自明だろう」

「どの国でも、国民の痛みを伴う財政再建には後ろ向きだが、市場金利が上昇し始めると本腰を入れて財政再建に取り組まざるを得なくなる。放漫財政状態が続けば、いずれ高インフレ状態が抑えられなくなり、国民はインフレ税の形での重い負担(ハイパーインフレ)を余儀なくされる。そうならないために中銀は資産縮小による正常化を進め、市場の価格発見機能を最大限尊重する必要があるというのが世界の流れだ」

他の中銀は22年上半期ごろを境に資産縮小を進めている。

日銀のみが(コロナオペの終了を除けば)国債買い入れを続け、資産規模を縮小しない状態を続けている。
金融政策決定会合で正常化の方針や進め方に関して具体的に議論した形跡も見当たらない。

以上が河村氏の論考だが、これを読めば円安進行の理由が見えてくる。

他国はばらまかれたお金の回収ステージなのに、日銀だけはバラマキ続けている。円の価値が他通貨に比べて棄損していくのは当然の結果である。

「金利差などという小さなことが円安進行の主因ではない。それを見誤ると為替の取引でたいへんな目に合う」。

ハイパーインフレで得をするのは、借金をしている人たちだ、中でも国債で巨額な借金を抱えている政府の借金はほぼ帳消しになる。半面、最も損をするのは実質無価値となった預金を持っている庶民である。

そうなる前に、今こそ海外の安全な資産に投資するなど、自己防衛が必要な時期に来ているのではないだろうか。


By Admin|2024年5月21日|ニュースリリース,|


Page Top
error: Content is protected.