空き家問題、極まれり

処理に困って放置されている空き家が、この20年で2倍に増えていると聞きました。
その半分以上が、親が亡くなって相続したものの、子世代はすでに別の土地で生計を立てており、
住む予定もなく、かと言って簡単に売ることもできずに、そのままになっている家なのだそうです。
・・・「親の住んでいた家」というのは、けっこう厄介だと思いますよ。
まずは大量のガラクタ・・・と言うとウチの母は怒るのですが、所狭しと詰め込まれたモノを片付ける
必要がありますよね。
筆者は業者に頼んでザーッと一掃してもらおうなどと画策しておりますが、母は、
「あら、けっこう良いモノがあるのよ」
・・・大抵のものは他の人にとっては不用品です。
「大事な書類はね、アレはあっちに、コレはこっちに・・・」
・・・大事な書類は一箇所にまとめておいて下さい。
「現金が和箪笥の隠し小引き出しと、仏壇と、あっちの棚とこっちの棚に・・・」
・・・家中にへそくり隠すのやめて下さい。
というか、たんすの中の隠し引き出しなんて、ヘタすれば気付かずに粗大ごみになっちゃいますよ!!
こんな感じで、中を片付けるのも一苦労ありそうです。
家が空になったら、今度は貸すなり売るなりしなければなりません。
マンションならともかく、一戸建ての場合は、これがなかなか難しいケースもあるようです。

一戸建て住宅を売却する時、古い家屋は価値がゼロで、土地に値段が付くわけですが、地方都市や、
ちょっと交通の不便な田舎になると、これが、売れない。
もともと人の出入りが少ない土地では、買い手を見つけるのが困難なのかもしれません。
もうひとつ、よくある話が「接道義務」という問題で、これは都会でも起こり得ます。
「接道義務」とは建築基準法で定められたルールで、建築物を建てる敷地は、幅4メートル以上の道路
に2メートル以上接していなければならないというものです。
これは消防活動などを円滑に行えるように、スペースを確保するための法律だそうですが、当然のこと
ながら、この法律が出来る以前に建てられた古いお家ではこの基準を満たしていないこともあって、
その場合、そのお家を取り壊したら、次にその土地に新しいお家を建てることは出来なくなります。
これを「再建築不可」といいます。
そんな土地はもちろん、まともには売れません。
空き家になった実家に住む予定は無いし、家の中の荷物を片付けるのも大変、売るのも大変、更地に
すれば税金が高くなるし、解体費用だって馬鹿にならない・・・。
それでつい、放置してしまうのも分かりますが、人の目が行き届いていない空き家は、害虫が湧いたり
犯罪の拠点になったり、古くなれば倒壊の危険性もあります。
多くの空き家を抱える自治体では、所有者に対して、解体するなどの対処を求めていますが、連絡が
なかなか取れなかったり、そもそも、きちんと相続手続がされていなくて所有者が誰なのか分からない
こともあるそうで、止む無く自治体が解体費用の数百万を負担するケースも。
税金が使われることに疑問の声も上がりますが、近隣住民の安全を守るためには仕方のない面もある
わけです。

さて、東京・世田谷区は、全国の市町村で最多の、約5万戸の空き家を抱えて問題の深刻さが増す中
で、昨年、空き家についての相談を受ける専用の窓口を作ったということです。
その窓口では、民間の「空き家専門アドバイザー」が無料で相談を受けて、相続手続から売却、
リフォームなど、所有者の希望を細かく聞き取りながら弁護士や不動産業者につなぎを付け、解決の
手助けをしてくれるそうです。
空き家を何とかしなければならないというのは、国会でも審議されていて、世田谷区の例のような
民間業者との連携も検討されているとのこと。
そうですよ、放置したら罰金だ!なんて罰則を設ける前に、どうして空き家が放置されるのか、
その理由をきちんと分析、解消する方法を模索するのが大事でしょう。
そして、相続や登記や、様々な手続きを、もっと簡略化して楽にできるようにして欲しいものです。


By Admin|2023年6月9日|2023年,ニュースリリース|


Page Top
error: Content is protected.