老化防止の効果は如何に?

「不老不死」、あるいは「不老長寿」と言ったら、空を飛ぶことに並んで人類の長年の夢でありました
が、科学技術が目覚ましい進歩を遂げ、宇宙へ進出するようになっても、実は人間の体の仕組みこそが
最大の謎、未知の領域として残っているのかもしれません。
どうして「老化」は起きるのか?
人間に限らず生き物は全て、体を構成している細胞を新陳代謝しながら生きております。
古い細胞を捨て、新しい細胞に入れ替えることによって若さを保っているわけですが、歳をとると、
この「入れ替え」作業の頻度が減り、古い細胞が居座るようになって「老化」が始まるのですね。
王様でも大統領でも、どんな大富豪でも、こればかりは誰にも止めようがないだろうと思われますが、
人類の「不老不死」への欲求は飽くことがありません。
・・・まあさすがに「不死」は無理でも、老化を遅らせることは出来るのではないか、ということで、
各機関で研究が続いているわけです。

そのひとつ、アメリカ・コロンビア大学やドイツ・ミュンヘン工科大学の研究者による国際合同チーム
が先日、専門誌に発表したレポートによれば、アミノ酸によく似た『タウリン』という物質が、老化
防止に有効ではないかと考えられる、という話です。
『タウリン』というのは魚介類や肉類に多く含まれていますが、ヒトの体内でも生成され、心臓、
腎臓、肝臓など全身の組織や、胆汁、母乳などの体液にも広く分布していることが分かっています。
効能としては、肝機能の強化や、疲労回復、コレステロールを減らすなどが挙げられ、栄養ドリンク
や、赤ちゃんの粉ミルクに配合されていることは知られております。
この研究チームの行った実験では、マウス、アカゲザル、ヒトからそれぞれ血液を採取し、分析した
結果、加齢に伴い、体内のタウリンが減少するという事が確認できたのだそうです。
さらに、アカゲザルに半年間、毎日、タウリンを投与する実験を実施して、投与しなかったグループ
と比較したところ、骨密度と骨量が増加し、肝機能が戻り、加齢に伴う体の衰えが改善されたという。
マウスでも同じ実験を行ってみると、投与したグループではやはり、骨密度や筋力がアップした上に、
寿命が延びたという話。
これにより、タウリンが老化防止に関わることは明らかになったものの、人体での効果は臨床実験で
検証するまでは不明なので、むやみに老化防止目的で過剰摂取しないで欲しいとしています。
また、この発見によって、運動と健康維持、あるいは運動と老化防止効果の相関関係も説明ができる
ようになるかもしれないと述べています。

ヒトに近いサルで効果が認められたというのは、期待しても良いのでしょうか。
タウリンは食事やサプリメントなどで手軽に経口補充できますから、人体での効果が確認され、適切な
摂取量がわかれば、誰もがすぐに試せますね。
人口減少、将来的な人手不足が懸念される中で、政府は国民に対して70歳まで働くようにと発破を
かけておりますが、働くにしろ遊ぶにしろ、体力は要ります。
目は見えない、耳は遠い、腰が痛くて動けないでは話になりません。
老化を遅らせ、健康寿命を延ばす策が確立されるなら、そこではじめて、本当の意味での「人生100年
時代」がやって来るかもしれません。


By Admin|2023年6月16日|2023年,ニュースリリース|


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