彩り豊かな 紅葉の世界

10月に入ると、全国で徐々にモミジの見頃が始まります。赤く色づくモミジは心を癒してくれ、日本らしい情景を目の前に作り上げてくれます。道に散ったモミジの葉も素敵です。紅葉の絨毯に歩を進めるたびに、足元でサクっサクっと、乾いた葉の砕ける音は、とても愉快な気持ちにしてくれます。全国のモミジの葉の違いを観察しに、お出かけされてみてはいかがでしょう。

夏の暑さが一段落すると、過ごしやすい秋の季節の訪れです。夏と冬との間が短くなってきていると言われていますが、その儚さまでも、世の無常さや物悲しさを伝える秋らしさなのかもしれません。

2ヶ月味わえる紅葉の見頃
モミジの見頃は地域によって異なっています。北海道の稚内など、早いところだと9月中旬から見頃は始まっています。
そこから紅葉前線は徐々に南下して、青森では10月初めから中旬、関東や関西、四国では10月中旬から 11月、といったように約2ヶ月に渡って、モミジの見頃を国内で追いかけることができます。

見頃が短期間に集中しないのは、北と南の寒暖差があるためだけではなく、国内で多くの種類のモミジを見られるためです。
モミジの葉を拾って見ると気づくことでしょう。もしくは思い出してみてください。切れ込みが深いものや浅いもの。3枚に分かれているものから、7枚など細く分かれているものなど、さまざまです。

目を楽しませてくれる数多くのモミジたち
日本国内で見ることができる代表的なモミジを紹介しましょう。

イロハモミジ (Acer palmatum)

日本国内で最も一般的なモミジで、さまざまな品種が存在します。日本を代表する美しい新緑や紅葉で知られています。落葉樹では数少ない「庭の主役」となりえる植木です。特に関東地方や関西地方に多く見られ、見頃は10月中旬から11月初旬です。

ハウチワカエデ (Acer japonicum)

日本の固有種で、北海道から九州まで幅広く分布し、特に東北地方や中部地方に多いモミジです。天狗の団扇にも例えられ、「メイゲツカエデ」や「ジュウニヒトエ」とも呼ばれます。見頃は10月中旬から11月中旬にかけてです。

トウカエデ (Acer buergerianum)

関東地方や中部地方に多く分布しています。中国名は三角楓(三角槭)。英語圏では trident maple (トライデント・メイプル)、漢字名は「唐楓」。よく街路樹や公園樹として見かけます。見頃は11月中旬から12月初旬にかけてです。

これらの他にも、関西地方や四国地方に多く見られ、葉が堅い洋紙質のオオイタヤメイゲツや、 ヨーロッパや北米で鑑賞植物とされるマンシュウイタヤ、ハウチワカエデより二周り小ぶりなコハウチワカエデなど、日本国内で多くの種類のモミジを楽しむことができます。

ところで、カエデの名の由来は、万葉集にカエデの葉の形をカエルの手に例えた「蛙の手( かへるで)」という名称が残っていて、「かへるで」→「かえで」という呼び名となったという説があります。また、「楓」という漢字は「カエデ」とも「フウ」とも読みますが、フウと読んだときは、よく似た別の植物になってしまいます。同じ漢字で読み方を変えると別のものになるなんて、面白いですね。


By Admin|2023年10月3日|2023年,|


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