「贈与税」と「相続税」の話

生前贈与の非課税枠が、年間で110万円まで、というのはきっと皆様もご存じで、すでにこの制度を
利用して、賢く財産を子供の名義に移し替えているという方も多いかと思います。
でも、贈与から3年を待たずに贈り主が亡くなってしまうと、その分も相続税の計算に加算されて
しまうので注意が必要です(注意と言われても困りますけどね)。
「お母さん、あと3年は絶対にがんばってね~」などと冗談を言っていたら、2024年1月以降の贈与
財産については、なんと7年後まで相続財産に加算される対象になるそうな?!
そこまで追い掛け回して税金を搾り取るのですか・・・。
贈与税、相続税に関しては、「二重課税だ」という意見もありますね。
確かに、一体どういう理屈で、収入を得た時点で所得税を払って残った財産にまた課税されるのか、
不思議でありますが、「所得税と相続税は、別の次元の税金だから二重にはならない」とかナントカ、
素人には全く理解不能な説明が為されております。
ところで、非課税枠110万円というのは、あくまでも受け取る側の限度額であって、例えば1人の
子どもに両親の双方から110万円づつ、合計220万円が控除されるわけではないので、念のため。
そして、110万円を超える贈与が行われた場合に、その時点でちゃんと課税対象分の贈与税を支払って
いたとしても、相続が発生した時にそれを自ら申告しない限り、また相続税を取られてしまうケースも
あるという・・・三重課税ですか?!
7年も追いかける元気があるなら、支払済みの税金もちゃんと認識しておいて欲しいです。 
・・・ちなみに、毎年110万円づつを渡すことにしている場合でも、それを税務署に気取られると、
「高額贈与を分割しているだけ」とみなされ、課税されることがあるので、渡す方法も、渡す時期も、
毎回変えて行った方が安全だという話です。

生前贈与の方法は、他にもいくつかありますね。
例えば、子供や孫の名義で口座を用意して、そこにまとまった金額を入れているという方もおられるでしょう。
これの注意ポイントは、その口座の管理を、必ず本人にさせるということです。口座の存在を本人が
知らなかったり、通帳や印鑑が贈り主の手元に残っていると、相続時に課税対象にされてしまいます。

保険料一括払いの生命保険の受取人に、子供を指定しておくのも有効な手段です。
生命保険金は、受取人の固有財産とみなされるので、相続財産にはカウントされません。
つまり、相続財産の基礎控除額(3000万円+600万円ⅹ法定相続人の人数)には入らないのです。
それとは別枠で、法定相続人1人当たり500万円までが非課税になるので、課税対象を減らすことが
できるのですね。

その他、30歳未満の子・孫・ひ孫の「教育資金」として一括贈与する場合は、最大で1500万円が
非課税となる制度がありますが、これを利用するには取扱金融機関と契約して、対象となる教育目的で
金銭が使われたことを証明する必要もあります。
また、贈与を受けた人が30歳を超えると、その時点で残っている金額には課税されるので注意が必要です。
この制度は、2026年3月までの限定商品(?)だそうです。

財産をどのようにするのかは、残す側の責任で、きちんと整理して決めておかないと、後を引き継ぐ
子供や孫が、大変な目に合ってしまいます。
相続税を軽減するためには、今から少しずつ、子供たちに分けていくなどして、後に残る金額を出来る
だけ減らしておくのが得策ではあるのですが、それもやり方を誤ると効果が失われます。
全体を見渡しながら、良く考えて計画的に進める必要があるのですね。
国税庁が出して来る課税のルールは言葉も仕組みも複雑すぎて、正確に理解するのも大変なのですが
(ワザと罠にハメようとしているとも受け取れますが・・・)、私たちも負けてはいられません。
しっかり勉強して、課税額を出来るだけ抑えて、大切な財産を守らなくてはなりませんね。
とりあえず、「まだ早い」ではなく、10年計画を立てるつもりで、考えてみるのはいかがでしょう。


By Admin|2023年7月28日|2023年,ニュースリリース|


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