ヒトを刺す、お邪魔虫たち

夏の時期の「お困りごと」と言えば、暑さで熱中症にかかりそうだとか、朝から晩まで冷房を
入れっぱなしにするから電気代が怖いだとか、マスクを着けているから息苦しいだとか、色々あるかと
思いますが、他にも「虫刺され」に悩まされているという方も、多くおられるのではないでしょうか。
筆者の場合は、大抵、夕刻の帰宅途中で蚊に刺されます。
たぶん、電車の中で刺されているのだと思います。車内では動かずじっとしていますからね。
蚊にとっては格好の獲物かもしれません(笑)。
迷惑なのはシツコイあの「かゆみ」ですよ。
ひどい時には治まるまで数日かかります。
そもそもなぜ「かゆみ」が起こるのかと言えば、それはアレルギー反応であり、「痛み」と同様に
生体防御の為に、体が発する警報でもあるという話です。
蚊がヒトを刺すのは吸血が目的ですが、その際に自分の唾液を注入して去って行きます。
蚊の唾液には麻酔成分(刺したことを直ぐに気づかれないようにするため)と、血を凝固させない成分
(吸血中に固まったらこまるから)が含まれているそうですが、その唾液=異物に体が反応して分泌
される、ヒスタミンという物質が神経に働きかけることで、脳が「かゆい」と感じ、異物を排除する
べく、「引っ掻く」という行動を起こさせるのです。
傷が大きくなってしまうので引っ掻いてはいけませんが、時には蚊がウイルスや菌などの病原を持って
いる場合もありますので、この「かゆみ」は危険を知らせる重大なサインと言えます。

さて、ヒトを刺す虫は蚊の他にもたくさんいます。
ハチやブヨ、毛虫などは、それらのいる場所になるべく近づかない、避けるという防御が可能ですが、
問題なのはヒトの家に入り込んで居ついてしまう虫です。
例えば「ノミ」。
犬や猫に寄生するのでペットを室内で飼っておられる方は注意が必要です。
体長は1、2mmで、なんとか目視できる大きさですから、いればすぐに気付きそうですね。
「布団の上でダニが跳ねた」などと仰る人がいるようですが、ダニは跳ねません。 それはノミですね。
ノミは30㎝以上もジャンプすると言います(体長の200倍!)。

それから「ダニ」。
これはかなり厄介なようです。
ダニの中でも哺乳類の血液を餌にしているイエダニは、ネズミを媒介して侵入してくると言います。
ヒトのお腹や二の腕の内側など軟らかい部位を狙って吸血します。
顎が弱いからだそうです。
症例写真を見ると、その刺された痕は真っ赤に腫れあがって、それが複数個所に渡るので、見ている
だけでかゆそうです。
実際にかゆみもかなり強いと言います。
イエダニも感染症を媒介することがあるので、いることが分かったなら、放置はできません。
ところがイエダニは、体長1mm以下と、あまりにも小さいので、目視確認が難しい。
従って退治も難しい。
布団やカーペットに潜み、顎は弱いが足のツメは意外にも強力なので、しがみ付いてなかなか離れない。
天日干しをしても、裏に隠れて逃れる。
掃除機で吸っても洗濯しても完全には取り切れない。
夜行性で、昼間は隠れていて、夜間に出てきてヒトを刺す。
しかもたった10匹から、3カ月後には1万匹に増えるという話も聞きます。
恐ろしい繁殖力です。
ノミにしろイエダニにしろ、一度入り込まれると、完全駆除がなかなか大変なようですが、最近は
様々な駆除グッズが販売されていますので、上手に利用して欲しいと思います。
また、イエダニの場合は媒介しているネズミを追い払って元を断つことも重要です(屋内でネズミが
死ぬと、ネズミに付いていたダニがヒトに移動してくるので、殺さずに追い払うのが良いそうです)。
虫刺されは、かゆいし肌が傷だらけになって困るというだけではなく、アレルギーを引き起こしたり、
病原を媒介したりすることもあります。
家の中にお邪魔虫が居座っていることが判ったら、間を置かずに対処した方が良いでしょう。


By Admin|2023年8月9日|2023年,ニュースリリース|


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